(3)ブリッジとナット
ブリッジとナット、この二つは弦とボディ(またはネック)の振動を伝達する接点です。その振動特性の違いによって、ギターの音質や音の出方がかなり変わる重要パーツと言えます。
ブリッジはたいてい金属製ですが、弦との接触部が滑らかな曲線のもの(フェンダー系)やスクエアなもの(ギブソン系)など数種類が見られます。また、金属素材にもいくつかの種類があり、形状だけでなく音に違いが出ます。
一般的には、安価で加工しやすく音質面でクセの少ないニッケル(およびニッケルクローム)製がよく使われています。他に、ブラス製(高音から低音まで音の強弱のバランスが良く、やや甘い音)やスチール製(ブラスより中高音域が強調された音ですが、やはり甘めの音)、ステンレス製(高域が強く低音がやや弱い傾向がある硬質のクリーンな音)、チタン製(ステンレスよりさらに明るい音色で、共振性が高い)などがあります。どれが「良い」かは、これも好みの問題と言えます。
いろいろなブリッジ
シンクロナイズドトレモロブリッジ(写真下中央)は、一般に鉛・スズの含有率の高い鋳物のトレモロブロックが使われていますが、音響特性に優れるのはスチール製やブラス製で、高額モデルにはスチールブロックがよく使われます。ただ、ブラス製のものはクセがあるのでストックではほとんど見かけません。
次にナットですが、定番と言えば、かつては象牙でしたが今日では強化プラスチック製が主流になっています。といっても、高級機種には牛骨、マンモスの牙、TUSQ(タスク)、MICARTA(ミカルタ)、DERLIN(デルリン)などが使われていますが、換装品としてブラス(brass;真鍮)やごくまれに象牙が使わることもあります。
牛骨製ナットは、ごく普通の好バランスの音を出力します。オイル含浸牛骨ナットというものがありますが、こちらは音がややこもるような感じで線も細くなる印象があります。音の張りよりも運指や押絃のスムーズさに重点をおく人に向いているようです。
マンモスの牙は中音域が豊かで、高音域もやや強まる感じで、牛骨よりもパワー感があり、サステインも牛骨製より良好です。
TUSQは人口象牙と称されていますが、エンジニアリングプラスチックの一種だと思われます。テフロン加工されており、押絃がスムーズで開放弦の音の分離も良好です。ただ、出音のパンチは牛骨にやや劣るような印象があります。
MICARTAは、石や樹脂の粉末、紙、木、布などを積層して樹脂で固めたもの。混合比率や素材構成によっていくつかの種類があるため、モデルによって音質に異同があります。全般に中高音域が強めで明るく張りのある印象と言えそうですが、難加工剤なので後付けするには高価になるでしょう。それに見合う音が得られるかどうかは判断の分かれるところです。
MICARTAは、石や樹脂の粉末、紙、木、布などを積層して樹脂で固めたもの。混合比率や素材構成によっていくつかの種類があるため、モデルによって音質に異同があります。全般に中高音域が強めで明るく張りのある印象と言えそうですが、難加工剤なので後付けするには高価になるでしょう。それに見合う音が得られるかどうかは判断の分かれるところです。
ブラスは最もパワフルな印象があります。解放時の音の分離は明瞭で、サステインも抜群に長続きします。